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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第6章 請願


今日の仕事も全て終わり、自宅に戻る車内。

「あのー。森本さん?」

「何だよ。気持ち悪いな…」

「6月最初の土日って、何時間かお仕事抜けられないですかね?」

「何で敬語なんだよ。」

「ちょっと行きたいところがあって。」

「無理だな。」

「少しくらい考えてくれても良いじゃないですか。」

「何処に行きたいんだよ?」

「それは…言いたくない。」

「話にならないな。」

「頑固ジジイ。」

「何とでも言え。お子ちゃま。」

どうせ駄目だって分かってる。

ちょっと言ってみただけだもん。

『キラフェス』

行ってみたかったな。

少しだけでも観てみたかった。


深夜の道路は、車の通りも少なくて。

次から次へと通り過ぎる照明の消されたショーウィンドウ。

ヘッドライトを反射すれば、キラリと光る。


見慣れた街並み。

あと少し走れば自宅に到着。


「明日は事務所に寄ってから行きます。」

「自分の車で行くので、迎えは結構です。」

「そんなに怒るなよ…。」

「鞭ばかりじゃ、萎縮しちゃいますよ?」

「萎縮するような性格かよ…」

失笑する笑い声が私の心を逆撫でする。

「メールチェックするので黙ってて下さい。」

「また、それか。」

「すぐ逃げる癖辞めた方が良いぞ。」

「………。」

私は、視線をPCへ落とした。
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