第6章 請願
収録終わりの代永さんを追い掛け引き止める。
「あのっ!代永さん…」
「どしたの?日菜乃ちゃん?」
「あの…」
「ん?」
グイグイ近づいてくる代永さん。
「すごく近い…これじゃ言いづらいですっ。」
「あはは。ごめんごめん。」
楽しそうに一歩後ずさり。
「それで?何?」
少し声を抑えてき周りに聞こえないように囁く。
「もし…大丈夫だったらなんですけど…」
「実は…キラフェス…観に行きたいんです。」
「え?来たいの?」
目を大きく開いて、私を凝視する。
「そんなに大きな声出さないでください!」
「えー?誰かお目当てさんでもいるのかな?」
腕を組んで、グイグイと近づく好奇心旺盛な視線。
「いや…そう言う訳では!」
「そうなの?」
残念そうな顔に少しホッとする。
「はっはい!」
「ごめんね。僕のは使い切っちゃったから呼んであげられないんだけど…」
「でも。多分、江口くんなら余ってるかもしれないから聞いてあげようか?」
「本当ですか!?」
「ただ…関係者席だと他にも色んな人来るけど大丈夫?」
「えっと…お願いしておいて、大変失礼なお話なんですけど…」
「まずは、うちのマネージャーが許してくれるかが問題なんです…」
「あー。森本さんね…。厳しいかもねー。まぁ、頑張ってよ。」
「僕も日菜乃ちゃんに来て貰えたら嬉しいし。」
「どちらの結果でも連絡もらえる?」
「はい!よろしくお願いします!」
まずは、第一関門突破?
次が難関の第二関門。
口うるさい事で少し有名な私のマネージャー。
帰りの車内が戦場になりそう。
気合いを入れて、大きく深呼吸をした。