第58章 点綴
「達央さん…」
「ん?行くとこ決まった?」
「はい…能登さんのところに…」
「あぁ…能登さんね。」
ほっと胸をなで下ろす。
「すぐ行くか?」
「はい…」
「あ。…靴…」
「あぁ。履いてなかったな…サイズは?」
「え?」
「だから。サイズ。」
「23…」
「ちょっと待ってろ。」
近くにあったジャケットを羽織り、玄関を出る。
廊下を歩きながら、スマホを取り出し発信をタップ。
「あー。仕事中悪いな。」
「急ぎで用意しといて欲しいもんがあるんだ。」
「23でヒール低めの暖色系の幾つか用意しといて。」
「あと15分以内に着くから。よろしく。」
エレベーターを待つのももどかしい。
こんなになるなんて。
滑稽極まりないよ。
………本当に。