第58章 点綴
日菜乃ちゃんを追って外に出ても姿は見当たらない。
そんなに遠くに行ってないと思うんだけど……
走り回って背中は汗でビショビショ。
息も上がる。
「日菜乃ちゃん…」
額に滲む汗を拭う。
子供な自分を抑えきれなかった。
責めることしか出来なかった。
こんなボクじゃ逃げたくなるよ。
何度も何度も電話をしても出ない。
ボクの声なんて聞きたくないよね。
………。
日菜乃ちゃんが頼れる人…
…………。
日菜乃ちゃんの友達…知らない。
仲のいい同業者…知らない。
ボクって何も知らないんだな。
ボクって何なんだろう。
これじゃあ、ただの同居人。
ふと頭をよぎる人。
タツさん…だったらどうしよう。