第56章 把持
「ごめん。イヤな思いさせちゃったよね。」
申し訳なさそうに声を掛ける岡本さん。
「でも。この手は離したくなかったんだ。」
手を引き寄せ組んだ指に口づけ。
「この後は、どうする?」
「行きたいとこは?」
首を振る日菜乃ちゃん。
「じゃあ…帰ってゆっくりしようか?」
そう言えば小さく頷く。
「ごめん。」
思いつきで動いてしまう。
キミはボクのモノだって。
言いたくなるんだ。
独占力が強くなる。
ボクの手から離れるなんて考えられない。
いつからこんな風になっちゃったんだろう。
ボクの『愛』って…重いよね。
これ以上大きくなったらどうなってしまうんだろう。