第53章 躊躇*
ベッドにそっと下ろしヒナに覆いかぶさる。
「ヒナ…」
「ヒナ?」
聞こえないのか眠り続けるヒナ。
耳に光る小さな赤いピアス。
「最低だけど触れたいんだ。」
耳の縁に指先でなぞる。
「もっと触れさせて…」
シャツのボタンを外し、胸元を開く。
白くて柔らかい肌と膨らみが俺を誘う。
そっと触れれば数年前の感覚が蘇る。
下着から溢れそうな胸を手のひらで包めば吸い付くような肌。
「デカくなってるし…」
苦笑しながら下着をずらす。
先端を指の腹で撫でつければ、ふにふにと柔らかかった部分が硬さを帯びてきた。
「感じてくれてる?」
返ってくるはずも無い質問を投げかけては口に含む。
舌で転がしては、吸ってみたり。
軽く噛んでみれば聞こえる吐息。
「んっ…」
起きればいいのに。
今起きて止めてって言ってくれれば止めるよ。
………なんて。
心の中では、絶対に起きるなって思ってるくせに。
スカートに手を掛けチャックを下ろし剝ぎ取り下着を引き剥がす。
片足に残るショーツ。
その姿を見るだけで胸が高鳴る。
足に手を伸ばし下から上へと舐めるように指を這わせた。
足を開かせカラダをねじ込めば太股を濡らす。
照明を落として、耳元で囁く。
そう。いつもよりトーンを上げて……。
「日菜乃ちゃん……」
「日菜乃ちゃん…起きて?」
「…ボクを求めて。」
そっと抱きしめると首筋に回される腕。
「…ん…頭痛くて…眠くて…」
まだ夢の中にいるヒナ。
俺だって思ってなくても構わない。
ヒナ?
なぁ…求めてくれよ。