第52章 再来
終始他愛もない話が続く。
最近どうしてた?とか仕事どう?とか。
話してる内容からしても櫻井さんも達央さんも会うのは久しぶりみたい。
「ヒナは、休みとか取れてるの?」
突然振られた話に我に返る。
「あ。はい。月に数回は。」
「休みは何してるの?」
「そうですね。ジムに行ったり。買い物したり。」
「一人でフラフラしてますよ。」
「そっかー。それじゃあ、今度俺とも遊んでよ?」
「考えときます。」
ジョッキに入ったビールを飲み込む。
「櫻井さんフラれてるじゃないですか。」
「ははは」と笑う達央さん。
久々に見る笑顔に私の頬もほころぶ。
「本当に今日はトゲがあるよな。」
「昼間だって、ヒドい扱いを受けたよ。」
「まぁ、アレはアレで嫌いではないけど。」
クスクス笑う櫻井さん。
それを見て、私も笑う。
最近こうして笑うことは少なかったかもしれない。
岡本さんともなかなか話せてないし。
一緒に暮らしてても、一緒にいられないと余計ツラい。
傍にいるはずなのに…一人なんて。
今日は岡本さんが帰ってくるまで起きていよう。
そう。話をしたい。
岡本さんに会いたいから…。