第5章 翻然
「美味しいですね。」
ボクの前にいる女のコは、さっきからずっとニコニコしながらクリームとベリーがたっぷり乗ったパンケーキを頬張っている。
「こっちも食べてみる?」
そう言って、ボクは自分の前に置かれたキャラメル、胡桃、アーモンドが沢山乗ったパンケーキを勧める。
「はい!ありがとうございます。」
「こっちも美味しい!」
ニコニコ笑う顔を見るとボクまで嬉しくなっちゃうよ。
「こんな素敵なお店、よく知ってましたね?」
「あぁ。先輩が教えてくれたんだ。」
「デートするなら、ここが良いって。」
「デート…」
ボソッと呟いて、真っ赤になって俯くカノジョ。
表情一つで、こんなにもボクの心を乱すなんて。
本当にボクはこのコの事が好きなのかもしれない。