第52章 再来
あれから2週間。
痛みもアザも消え、通常通りの生活を送れるようになった。
現場では、キャストやスタッフさんから心配される日々。
申し訳なくて、早々に包帯は外した。
イベントでは極力膝を出さない衣装にして貰ったり周りにこれだけ助けられてるんだって実感。
これからは、もっと注意しないと。と何度も何度も心の中で唱えた。
あれから達央さんとは会ってない。
元々作品が被ってるわけじゃないし。
会う理由なんて無いから。
テーブルに置いたスマホの画面は何の変化もない。
「お待たせ致しました。」
視線を上げれば注文したカフェラテ。
「ありがとう。」
御礼を言ってカップに口を付ける。
「ん。美味しい。」
空調で冷えた店内。
温かいカフェラテが胃に抜けるのを感じる。
自然と瞼を閉じて、ゆっくり息を吐く。
仕事終わりにこうして休憩する時間が好きだったりする。
「あれ?ヒナ?」
その声に顔を上げた。