• テキストサイズ

逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第51章 一笑


「全っ然眠れない!」

トイレを済ませ廊下へ出る。

いつも以上に饒舌な日菜乃ちゃん。

『随分饒舌だな。』

大人げない事言っちゃったよ。

情けない。

そして。

日菜乃ちゃんが呼んだあの人の名前。

『達央さん』

その名が頭の中をこだまする。

「何なんだよ…。」

数年前に聞いた噂。

タツさんと付き合ってる。

一緒にいるのを見掛けた。

ただの噂だと思ってたし、今でもそう思ってる。

もし本当だったとしても過去は過去。

勿論、ボクにだって彼女がいた事だってある。

今、自分の隣にいる日菜乃ちゃんを大事にしたいっていつも思ってる。

ふと視線は玄関へ。

いつも脱いだ後は揃える靴がコテンと横になってる。

「ん?珍しいな。」

近付けば壊れたサンダル。

ヒールが取れちゃってる。

この前新調したって行ってたヒールの高いサンダル。

『履き慣れない高さですけど、足がキレイに見えるんですよ?』

嬉しそうにボクに見せてくれた笑顔を思い出す。

直して履くのかな?

指先でサンダルの踵に指を引っ掛け持ち上げる。

「また怪我したら大変だし…」

「直すようなら止めないと。」

玄関の端に寄せて、立ち上がる。

「新しいのプレゼントしたら喜ぶかな。」

「怪我が治ったら買ってあげよう。」

うんうん頷いて日菜乃ちゃんの眠る寝室へと戻った。

/ 549ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp