第51章 一笑
「岡本さん…あの」
「何?このベッドから抜け出すのは許さないからね。」
「えー…お風呂入りたいです…」
「今日は体を温めるのは禁止。」
「そんな…でもメイクは落としたいです。」
「拭き取り式のメイク落としあったでしょ?持ってくるよ。」
「顔洗いたい。」
「ホットタオル持ってくるよ。」
「……着替えたい。」
「キャビネットから持ってくるから安心して。」
「うー…」
何を言っても駄目みたい。
「トイレは…?」
「そこまで運んであげる。」
「………」
「もう諦めなよ。ね?」
ポンポンっと頭を撫でられた。
「じゃあ、さっき言ったの全部持ってくるから待っててね。」
心配そうな笑顔。
負担を掛けないようにって思ったのにダメだった。
何もかもが空回り。
こんな自分が大嫌い。
自分すら好きになれない私のどこを好きだって思ってくれるんだろう。
そう思うだけで不安で仕方なくなる。
私は愛される程の価値があるのかな…