第49章 振幅
「ピンポーン」
インターホンの音にハッと我に返る。
触れた肌を引き離し、玄関へ目を向けた。
「業者さん…来たみたいです…」
「そうだな。」
フッと視線を外し立ち上がる達央さん。
「後はプロに任せるよ。」
「大したこと出来なかったけど、帰るな。」
「じゃあ…また…」
合わない視線。
「ありがとうございました…」
閉まるドアに静まり返るリビング。
「ピンポーン」
再び鳴るインターホン。
「はい。すぐ開けますので。」
エントランスのロックを外す。
あのまま誰も来なかったら…
私はどうしてたの?
考えるだけで怖くなる。
またあの頃の私に戻るの?