第48章 共鳴
「一緒に暮らしませんか?」
驚きに言葉が出ない。
「日菜乃ちゃん?どうですかね?」
突然の敬語に思わず笑ってしまう。
くるっと体の向きを変えて岡本さんと向かい合う。
「………岡本さん…何で敬語なんですか?」
ジッと見つめるとまばたきもする事なく私を見つめ返す。
「いや…緊張しちゃって。」
照れてるのか視線を落とす。
「知ってましたよ?」
「へ?」
「緊張してたのは知ってました。」
そう言えば驚いたように視線を上げる。
「だって。さっきからまばたきして無かったですもん。」
体を傾けて、岡本さんの頬に指先で触れる。
「バレてた…かっこ悪…」
バツが悪そうに今度は視線を逸らす。
そんな姿が可愛くて頬が緩んでしまう。
膝を立てて首に手を回す。
「岡本さん?ね?一緒に暮らしませんか?」
顔を覗き込むと驚いたように目を見開く岡本さん。
「日菜乃ちゃん!それボクの台詞なんだけど。」
眉を寄せて抗議の視線を送ってくる。
その視線に負けないように岡本さんを見下ろしながら問う。
「それで?どうですか?」
「もう…よろしくお願いします…」
口を尖らせながら、ペコッと頭を下げる岡本さんの行動に自然と笑みが溢れてしまう。
「これからも宜しくお願いしますね。」
深く頭を下げると岡本さんは痛いくらいキツく抱き締めてくれた。
耳に触れる唇と漏れる吐息に体が震える。
「感じちゃった?」
クスクス笑う声に顔が上気するのを感じるの。
岡本さんを引き寄せ鼻先を微かに鼻先で触れる。
「キスしてもいいですか?」
「聞かないでよ…」
色気を感じさせたと思えば、子供みたいにコロコロ変わる表情。
これからも沢山の貴方を見せてくださいね。