• テキストサイズ

逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第46章 澄明


手を引かれベッドに座れば、体を屈めて話し掛けられた。

「待つのって辛いね。」

覗き込む顔に反射的に視線を外す。

「……そうなんですよ…。待つって…辛いんです。」

「私は何年待ったか…思い出せないくらい……」

目を閉じれば、今までの数年が駆け巡る。

「ごめんね。沢山待たせたよね。」

掛けられる声は優しさと寂しさが垣間見られる。

「数分なのに何度も何度も時計を確認しちゃった。」

「『まだ5分しか経ってない』を何度繰り返したことか…」

「沢山沢山待たせてごめん。」

顔を上げれば、困ったように見つめる岡本さん。

頬に触れる大きな手。

「日菜乃ちゃん。好きだよ。」

優しい眼差し。

視界がどんどんぼやける。

胸が苦しい。

でも、伝えなきゃ。

ずっとずっと伝えたかったこの気持ちをもう一度。

「私も岡本さんが好き…っ」

言葉に詰まりながら気持ちを絞り出すような声で伝える。

すると、岡本さんは溢れる涙を指で拭ってくれた。

「うん。ずっと前から知ってる。」

子供みたいな笑顔に私もつられて笑顔になるの。



「日菜乃ちゃんには、笑顔でいて欲しい。」

「キミの笑顔がボクの笑顔だから。」

頬を伝う涙は止まりそうに無いけれど、今できる最高の笑顔を。
/ 549ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp