第44章 拈華
「お疲れさまでした。」
丸2日掛けての撮影も終わり、達成感に心躍る。
ワンピースの裾を少し上げて、バシャバシャと音を立てながら海に入る。
水は冷たい。
日は傾きキラキラと光を反射する水面に目を細めた。
遠くを見つめるその先は?
「日本ってどっちなのかな?」
「今向こうは何時なんだろう…起きてるかな?」
いつも心の奥にはあの人がいる。
諦めが悪い自分に嫌気がさす。
「ここまで来たのに考えることは一緒なんだから。」
呆れながらため息をつくと口元が緩むの。
「本当に成長しないんだから。」
持っていた裾から手を放し、グッと伸びをする。
大きく息を吸い込み肺いっぱいに暖かい空気を吸い込んだ。