第44章 拈華
ホテルの部屋に入るとまっすぐにバルコニーに繋がるドアを開ける。
一気に吹き込む風が私のスカートをふわりと捲る。
「わー!!ダイヤモンドヘッドが見える!!!」
「すっごいいい景色~。」
バルコニーの手すりに両肘を付いて眺める。
ポケットからスマホを取り出し写真を撮れば送りたい相手は…。
LINEを立ち上げるとメッセージの通知が目に留まった。
『そろそろ着いたかな?』
『そっちの天気はどう?』
『こっちは雨の日が続くみたい。』
『そうだ。そっちで某高級アイスクリーム食べてみて。』
『騙されたと思って食べてみて。日本のものより甘いから!』
「某高級アイスクリーム?あのアイスかな?」
「下のお店に売ってたし、食べてみよ。」
画像を添付しメッセージを送る。
『ホテルに着きました!』
『良いホテルで驚きました。』
『アイスクリーム食べてみますね。』
『お土産リクエストいつでも良いので教えてくださいね。』
「送信っと。」
今日はゆっくり休んで明日から撮影。
どんな場所に行くかは教えて貰ってないけど、楽しみ。
岡本さんに教えて貰ったかき氷食べに行けたらいいな。
思い浮かべるだけで口元が緩むの。
どうして…?