第42章 逕庭
撫でられる頭。
久しぶりに見た笑顔に胸を撫で下ろす。
「そんな顔するなよ。」
困ったように眉を寄せる達央さん。
私は貴方を困られてばかり。
寂しいときには甘えさせてくれる。
頼りになる人。
私の考えてることが分かる人。
初めは、はっきり言えば苦手だったのに。
いつの間にか傍にいるのが当たり前になった。
心が苦しい時、逃げたい時は受け入れてくれる。
そう。言わなくても達央さんには伝わってる。
そんな関係に甘えてたのは私。
利用してたのも私。
自分さえ良ければいいのかな。
本当に最低。
あれから達央さんとは話せずにいた。
避けられてるのかと思ってた。
だって。避けられてるような事をしたから。
自業自得だと思ったから目を伏せて受け入れようと思った。
現場で一緒でも目も合わせない。
でも…視界に入ると話したいと思う。
休憩時間に他のキャストも含めて話せた。
嬉しいと思うの…
本当に最低。
嫌われる事に慣れてるはずなのに。
嫌われるのが怖い。
一人なるのが怖い。
本当の私は何がしたいんだろう。
偽り過ぎて、何が本当か分からない。
何がしたいの?
誰と一緒にいたいの?
自分で自分が分からないの……。