第42章 逕庭
久しぶりに見かけたヒナは、少し大人びた雰囲気。
ぎこちないながらも女性声優とも話せるようになっているようだ。
「日菜乃ちゃん。お昼メロンパンなの?」
「えっと…はい…」
「私もね。今朝、そのコンビニのメロンパン食べたんだー。クッキー生地美味しいよね!」
「はい…あの…お昼食べないんですか?」
「あー。うん。今ね。マネージャーが買いに行ってるの。遅いよねー。お腹鳴っちゃうよ。」
机に突っ伏しながら話す。
その顔を少し困ったように見つめるヒナ。
「えっと…朝食と同じになっちゃいますが、半分食べます?」
「えー。さすがに悪いよー。」
「いえ。ちょっと大きいなって思ってたので…」
大きめのメロンパンをちぎって袋のまま渡す。
「わー。助かるー。催促しちゃったみたいでゴメンね。」
こんな会話が聞けるなんて、休憩時間に残るもんだな。
「あ!タツー?喉渇いちゃった~。」
「だから何だよ。」
「日菜乃ちゃんは優しいからメロンパンくれたの。」
「パワハラだろ。」
「えー。そんなこと無いよ?ね?」
くるんと向き直りヒナの表情を覗う。
「そんなこと無いですよ。食べきれないので寧ろ助かりました。」
ニッコリ笑う笑顔は、少しぎこちないけど。
ヒナの笑顔が見られて嬉しいよ。
これは本音。