第39章 錯綜*
「帰るの?」
気怠そうにベッドから上半身を起こす。
「あぁ。急に悪かったよ。」
上着を羽織り、床に置いた鞄を持つ。
「うん。突然来られるのは困るから連絡して。」
「他の人と鉢合わせしたらお互い気まずいでしょう?」
クスクス笑いながら、膝を抱き寄せこちらを見つめる。
長い髪がスルリと肩から滑り落ちた。
数ヶ月前までは、よくこの部屋に来てた。
別に彼女って訳じゃない。
お互い需要が合えば、欲を発散する。
そんな関係。
「次からは、そうする。」
「うん。次が無いことを期待してるね。」
「あ?」
「うぅん。きっと次は無いと思う。」
「私の感は当たるのよ?」
「ヒナちゃんと上手くいきますように。」
ニッコリ笑って手を振る姿に俺はため息を付く。
「だと良いけどな。」