第31章 密議*
「どうせ脱ぐから、必要ないです。」
こう言うところ。
あの頃から変わらない。
合理的ではあるけど、女性らしさに欠ける…。
仕事もプライベートも頼りなくて、守ってやらなきゃって。
そう思ったんだよな。
その気持ちは今も変わらないけど……。
「日菜乃?…話があるんだ。」
「風呂から出たらでいいよ。」
軽く手を上げて、背中に手を振る。
振り向きもせずに視界から消える日菜乃。
相変わらず、冷たいな。
でも、その方がいい。
必要とされないなら、その方が。
もう…お前の傍には居られないんだから。