第29章 陶酔*
触れる胸は、汗ばみ程よく滑る。
時折胸に唇を寄せられると、チリッと淡い痛みを感じる。
今はその痛みも心地良い。
「ヒナ…」
いつから『日菜乃』じゃなくて、『ヒナ』って呼んでくれるようになったんだろう。
あの時は「ぜってー呼ばねー」とか言ってたのにな。
思い出すだけで頬が緩む。
「何?余裕な訳?」
額に浮かぶ汗を手の甲で拭い不服そうに私を見つめる。
「いぃえ。ちょっと考え事してただけです。」
「はいはい。考え事出来ちゃうくらい余裕な訳ね。」
「じゃ、遠慮無く。」
そう言うと、私の片足だけを肩に掛け一気に奥まで突き上げる。
「やっあっ」
あまりの衝撃に首を横に振るしか出来ない。
「激し…過ぎっ」
「うるせーよ。黙ってろ。」
言い終えると同時に舌をねじ込み、上顎を舐める。
「んっ!」
上も下も塞がれ私の中は快楽で支配される。
もう何も考えられない。
私も達央さんの首に腕を回しキスを求める。
自由な片足の太股で腰を撫でる。
時折流し込まれる唾液。
1滴残らず溢さぬように飲み干す。
この行為が好き。
もっと貴方が欲しい。
もっともっと私に下さい。