第29章 陶酔*
冷蔵庫から出したミネラルウォーター。
一気に半分程飲み干し、寝室に戻る。
程よく落とされた照明のせいで、ヒナの顔は影になりよく見えない。
「おい。水飲むか?」
布団から片手を出して空(くう)を掴む小さな手。
その手を掴み、引き寄せる。
「ひゃっ」
驚いた声に笑ってしまう。
手に持ったペットボトルのキャップを外し、少し多めに水を口に含む。
さっきまで掴んでいた手を放し、ヒナの後頭部を引き寄せ、そのまま唇を奪い流し込んだ。
「んっ…!」
口の両端から漏れる水と鼻から洩れる声。
コクッコクッと鳴るノド。
全てを流し込み、ヒナの顔を盗み見れば既に熱が籠もる瞳。
「ご希望通り、また始めようか。」