第28章 着想
「へぇ。なかなか美味いじゃん。」
用意したメニューは、お気に召したよう。
予想外の言葉に唖然としてしまう。
「あ…ありがとうございます。」
「何だよ?」
「いえ。お口に合うか少し不安だったので。」
「美味いと思うよ。」
そう言って、食べ終えた食器をキッチンに下げる。
「そこまでしなくていいですよ。」
「自分の食い終わったものくらい下げる。」
「あ。もしかして、キッチン入られるの嫌な人?」
「いえいえ。そんなに繊細じゃないです。」
「だよな。」
「ハハハ」と笑いながら、下げた食器を慣れた手つきで洗う。
「家事とかやるんですね?」
「あ?」
背中越しにこちらを覗う。
「何でも無いです。」
「ついでに私の分もお願いしますね?」
「嫌だよ。」