第23章 密事*
~♪♪
重い瞼を薄く開き、画面に表示された名前を確認する。
『代永 翼』
iPhoneのロックを解除し、電話に出る。
「はい…」
「おはよー。寝てた?」
「今何時?」
「んーとねー。6時!」
「………。」
「あのね?ボクの部屋のドライヤー壊れちゃってて。少し貸してくれない?」
「あぁ。マネージャーとかに借りろよ。」
「誰も電話出なくてさー。」
「じゃあ…フロントに…」
眠い目を擦りながら、足に引っかかったズボンを履く。
「用意しとくから取りに来て。」
「んーとねー。もう部屋の前にいるんだ♪」
「は?」
コンコンとドアをノックする音。
「全く…」
ガチャリとドアを開けると寝癖の付いた翼と目が合う。
「えへへ。ドライヤーじゃないと直らないの。」
肩をすくめて、ヘヘヘと笑う姿に
「お前は女子か…」と呟く。
「ちょっと待ってろ。」
電気を付けて、バスルームに入った。
その時は、確実に忘れていた。
昨晩何があったのか。
そして、部屋にもう一人いることを…。