第19章 讒訴*
「ちょっと待ってろ。」
男子トイレの個室で待つこと数分。
いつかバレるんじゃないかとヒヤヒヤしながら、身支度を整える。
ガチャッと扉が開く音。
「おい。オレ…開けろ。」
個室のドアを開けると、外へ続く扉から顔を出す姿を確認する。
視線も合わせず、私に問いかける。
「お前の荷物コレだけ?」
「あ…はい。ありがとうございます。」
「とりあえず、お前はこのまま帰れ。」
「後は何とかするから。」
「突き当たりを左に行けば裏口らしいから。」
「ほら。今のうちに行け。」
言い終えると扉の外へ出ると裏口とは客の方向へ進む。
「あのっ…ありがとうございます。」
振り返ることなく、片手を上げて賑わう店内へ戻って行った。