第19章 讒訴*
「タツ?」
「あ”?」
「何で水澤さんの荷物探してたんだよ?」
「うるせーよ。」
ヒラヒラと手を振って、出口を目指す。
「鈴木さん。お疲れさまです。」
「うちの水澤ご存知ですか?」
「あー。アイツのマネージャー…でした?」
「あ。はい。」
「アイツなら、気分悪いって言ってさっき帰ったみたいですよ。」
「アイツ…」
チッと小さく聞こえる舌打ちにイラッとして睨む。
「おっと。すみません。」
「お時間頂き、すみません。」
「では、失礼しますね。」
軽くお辞儀をして店の外へ出る。
「あれー。森本さん居ませんでした?」
共演していた女性声優がキョロキョロと周りを見ながら話し掛けてくる。
「あ?」
「あの人滅多に打ち上げ来ないから、話したかったんだけどー。」
「人のマネージャーと話して何かメリットでもあんの?」
「はぁ…」
明らかに呆れたため息をつかれる。
「あんなに顔がいいマネージャーなんてレアですよ?」
「それに……何であの子のマネージャーやってるのか。」
「前は、同業者だったらしいですし。」
「本当に勿体ない。」
言い終えると、そそくさと店の奥に消えて行った。