第6章 いつつ振って
そして、ようやく目当ての教室を見つけ、そのドアをスライドさせて。
思わず動きを止めた。
「あれ…貴方、同じクラスだったんだ」
偶然、ぶつかった瞳に口が勝手に動く。
「…おー。…なんじゃ、奇遇じゃの。俺も今日初めて知ったナリ」
そこにいたのは、さっきまで考えていた、銀の人。
久しぶりに来た学校で、たまたまマネージャー探してた(サボる口実ではあるが)彼と会って、マネージャーになって、教室も同じ。
重なり過ぎた偶然が、逆に怖い。
結果として、高校入学以来き教室デビューは、お世辞にも軽くない驚きに彩られるはめとなった。
「お前さん、高三だったんか」
「うん。―――まあ、来たのは今日が初めてだけど」
「ほう。ま、よろしくの」
「んー…じゃあ、明日からはなるべく顔出すね」
彼がいるなら良いかもしれない、なんて。
わざわざドアまで迎えに来てくれた彼の骨ばった手を握り返し、曖昧に頷く。
なんの因果か、隣の席になって顔を見合わせてしまったのは数秒後。