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遠い約束

第8章 ななつ振って


結局、暑さに耐えきれずに保健室へと場所を変えたが、鈴奈は目覚めることなく部活までの二時間丸々お昼寝時間となった。
自分も一緒になって眠ってしまい、かなりギリギリの時間と勝負するはめになったのは言うまでもない。
それはそうと…
「なんじゃ、この屍どもは」
倒れてはいないものの、ゾンビのような痩せこけた顔で蹲る赤也、丸井、そしてなぜか平部員が数名。
見た限り幸村と対戦した、というような様子もない。
「仁王先輩~…!」
声を出した途端、がばりと顔を上げたゾンビ一号、もとい赤也が大きな瞳を潤ませた。
年上にウケそうな擬人化した子犬に絆されたのか、鈴奈はすっかり聞く体勢に入っている。
全く見えないため忘れていたが、鈴奈もまた高三。
経歴上はしっかり年上だ。
つまり弱いのだろう、こういうのに。
軽い嫉妬は横に置いて聞けば、なにやら見知らぬ女性がやって来て英語を捲し立てたらしい。
話だけなら「それが?」となるが、如何せん、赤也丸井の英語力の無さはピカイチだ。
相当な苦痛だったのだろう。
「して、その女性とやらは?」
「いまジャッカルが相手してるぜぃ」
糖分を求め這いずりだした丸井が息も絶え絶えに言い、菓子を貪る。
まさにゾンビそのもの。
「英語…」
「なんじゃ、できないんか?」
ぽつ、と呟いたかと思うと、学年一の秀才は曖昧に首を振った。横に。
「や、心当たりしかない」
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