第5章 よっつ振って
《幸村side》
勢いよく開いたドアから出てきた、金と銀。
銀は言わずもがな、仲間の一人―――仁王雅治。
そのとなりに堂々と立った金―――金髪の見知らぬ少女。
そう。“女”の子だ。
「……誰かな、君」
自然と固くなる声に、小さなその子は顔を強張らせた。
珍しく化粧っ気のない整った顔からは血の気が引き、青空を思わせる澄んだ双眸が揺れながら仁王へと移る。
そして、自分の目を疑った。
「 鈴奈。大丈夫、大丈夫じゃ。俺がいる」
俺たちの中でもダントツで女嫌いの仁王が、あろうことか震える少女を抱き締めたのだ。
やんわりと、細い肩を上から包むように。
宥める優しい声が風に乗って届き、今度は耳を疑う。
「俺がいるから」
ドロドロに甘やかす声も、優しい笑みも、決してペテンでないとわかってしまうだけに始末が悪い。