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清くあれ【ハイキュー】

第2章 理解できない理解者




思い返せば、五十嵐サンの作品が俺とかどうでもよく思ってる奴にも目につくぐらい、どでかく飾ってあったのは一年のあたりぐらいだった気がする。


励ました方がいいのかこういう時は、なんて事を考えていれば、五十嵐サンがふいに顔を上げる。

「でもね、わたしやめないんだ。やめない事にしたの。」

そう言って笑ったその顔は一変してけろりとしていて、俺を覗きこんでくるその目はきらきらと輝いていた。

俺は拍子抜けしてつい目を丸くしてしまった。
さっきまでの沈鬱とした彼女はなんだったのか、と思うくらいのころりと変わった表情。

女子ってこんな感情の起伏が激しい生き物なのか?とも思ったが、女子というより、芸術家は変人が多いってやつなのかもしれない。

それに、そんな五十嵐サンの吹っ切れたような、屈託のない笑顔は、なんつーか。

「影山くんのおかげだよ。」
「は?」
「さっき言いそびれたこと。あ、わたしこっちだから」

俺のおかげって、聞き返そうとしたら、五十嵐サンはコンビニの横の道を指し、そこまで駆けて行ってしまった。
そして振り返る。

「ここまでありがとうね。じゃあまた、明日。」

そう言って踵を返したきり振り返らなかった。

俺は呆気にとられそれに返す事も出来なかった。


五十嵐めい、すげー変なやつ。


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