第1章 それは何気ない放課後の
「おーいそろそろ体育館閉めるぞー」
急に聞こえた声に心臓が飛び出そうになった。
背後には先生がいつの間にか立っていた。
それよりも、なんだか辺りがやけに暗い。
時計を見れば、なんと午後20時を回っていた。
わたしは何時間ここにいたんだ…
「うす、あざす。……?」
先生の声にこちらに視線を向けた影山くんが、わたしの存在に気づき首をかしげる。
「そういえば五十嵐、お前なんでこんな所にいるんだ?」
先生のごもっともな言い分に焦る。
たしかにわたしはバレー部のマネでもなければ元文化部で、さらには受験生。体育館とは縁もゆかりも無い人間だ。
「ええっと、」
「まあいい、ボール片付けるの手伝ってやれ。
その方がはやく閉められるしな。俺は別のとこ見回りいってくるからそれまで終わらせておけよー。」
「あ、はい…」
「ウッス」