第1章 それは何気ない放課後の
影山くん。
彼とは特に面識はないが、校内ではなかなか有名人だ。
バレー部が強い我が校の中でも頭ひとつ抜けていると言われるほどの天才肌らしいし、それに加え背が高く整った顔立ちで女子たちの間で人気で、わたしもかっこいいなとは思っていたから名前と顔は知ってた。
ただ特別な思い入れや恋心ではなく女子によくあるミーハー心からくるものだが。
それに反して部内での印象はあまり良いものではなかったらしい。
ついてたあだ名はなんだっけ、たしか、王様かな?
だからわたしは彼は天才という資質に胡座をかいているような人間という印象がどことなくあった。
そこには少し嫉妬みたいのもあったけど。
でも、いま目の前にしている影山くんからはそんな印象は感じられなかった。
一人で、この真冬にも関わらず汗だくになりながら、ひたすらサーブをうっている。
それて、ネットにひっかかって、アウトになって、
それでも、ただ淡々と。
なんだ、話が違うじゃないか。
なんて、かっこいいのだろう。