第1章 それは何気ない放課後の
また落ちてしまったらしい。
わたしの絵。今回は、結構上手く描けたと思ったんだけどなあ…
こんなにも何てことないように思えるようになったのはいつからなのだろう。
あんなに時間を掛けて描いた大切な作品も、あちらに渡ればすぐ捨てられてしまうのかな。
廊下を歩く足取りが重い。
儚い冬の夕日が廊下をどろどろと溶かしていくようだ。
そうだ、もう冬なんだよな、中学ももう、お終いなんだよなあ。
美しい景色も、なんだか今は虚しく見えて。
もう、なんか疲れた。
キリもいいし、やめてしまおうか、こんな無意味な繰り返し。
校門に向かって歩いていた途中、体育館からボールが床を弾く音がふと聞こえた。
もう部活はとっくに終わりの時間なはずなんだけどな…残り練にしても今は試合もない季節だし。
そんな些細なことだったがふと気になって、体育館に足を運ぶ。
僅かに開いた扉から覗けば、体育館には一人しかいなかった。
しかもまさかの知っている人、部活ももう引退したはずの3年生だ。