第3章 未来は拓けてる
やがて冬休みを経て、完全に3年生は受験一色といった感じになり。
わたしも色々悩みはしたけど、志望校もちゃんと自分の中で答えを出せたし、もう迷いはない。
勉強に関してはそこまで不安はないから、あとは本番に備えるだけだ。
その間にも美術室に通うのをやめなかったが、学期始めの帰り際に体育館の横を通り過ぎた時、先生に叱られている影山くんの姿が見えた。
端的に聞いた内容から、受験生なのに体育館に入り浸ってるのを流石に怒られてしまったようだ。
影山くんは何やら食い下がってるようだったが、結局言い返せる事もなく、根負けしていた。
次の日からはお叱りの結果、ボールの音は聞こえなくなってしまった。
少し、いや大分残念だけれど、影山くんも将来の為に頑張らなきゃいけない時期なんだと思えば仕方ない。
そう思った帰り際、道路の反対側で見覚えのある人がランニングをしていた。
果たしてそれは影山くんだったものだから、わたしは一人なのについ声を出して笑ってしまった。