【おそ松さん】六つ子におぼれてみる気、ない?【R18】
第6章 松野家流おもてなし
【一松】
僕らがもうだいぶ前から愛している彼女、
もとい、柚葉ちゃんは
見分けの付かないように
わざと同じ服、同じ姿勢、同じ表情をした僕らを
いとも簡単に当てて見せた。
母さんでも、たまに間違うのに。
子供のころ、
僕らに個性なんてなくて
僕らは僕らにしか見分けがつかなかったころ。
あの頃を真似たようにすべてを統一してみせたのに。
あっさり。
簡単に。
僕たちを『六つ子』ではなく『六人』だと認識した。
一つだけ気になるとすれば、
僕らが入れ替わってすぐ、柚葉ちゃんは目を伏せた。
普通はどこか少しでも漏れ出した個性がないか
舐めるように眺めるのが普通じゃないの?
だけどこの子はそれをしなかった。
僕らは世にも珍しい六つ子。
そんな視線には慣れている。
それが逆に違和感でしょうがない。
そしてこれは初めて家に来た人には必ずやる、
恒例行事、松野家六つ子流おもてなし。
今回はこれ、みんなする気なかったんだけど
おそ松兄さんが
「とりあえず落ち着いて心開いてもらうためには
やっぱあれじゃね?」
って言うから。
今まで家に来たいろんな人にやってきたけど
基本、服をそろえた時点で誰が誰だか分からなくなる。
もしわかる人がいたとしても、表情や姿勢まで同じにしてしまえばもう誰も分からない。
今まで当てた人なんて居なかった。
それに気になるのは、特に僕らを目で追うことをしてなかったこと。
さっきも言ったけど普通は舐めるように見るはず。