第10章 罪悪感と欲求
「こんなの置いてるからま〜くんも家に呼べないんじゃん。」
「それは…まーくんおうちに呼ぶなんて緊張しちゃうじゃん!」
「俺は〜?」
「今さらでしょ、りーくんの部屋にもしょっちゅう行ってるし」
あっけらかんと言うと、りーくんは少々不満気。
「今日、帰るのやめよっかな〜夜遅いし、明日どうせ休みだし」
「え〜泊まるの?」
「ダメ〜?別に友梨香なんかに手出したりしないし〜」
そう言いながら、ブレザーやら靴下やらを脱ぎ捨てて、そそくさと人のベッドに潜り込む。
「おいで、友梨香ちゃん。仕方ないからよしよししてあげる。」
「やだよ〜、仕方ないからってなに?それに、さすがに一緒にベッドに入るのはさぁ。」
「ベッドで俺の上に乗ってきた人が何言ってんの〜?今さらでしょ」
さっきわたしが言ったことを、言い返される。
躊躇うわたしの手を半ば無理矢理引くと、りーくんに腕の中にすっぽり収まって、同時に頭を撫でられる。
「なんか珍しい、こんなことされんの…ちょっとこわいよ…?」
「うるさいなあ〜今日はお兄ちゃん気分になってみようかなって思ったの。」
そう言ってわたしの口を塞ぐように、さらにぎゅっとしてくる。
普段何でもお世話させてくるりーくんのそんな振る舞いに戸惑うし、なんだか気恥ずかしい。
けど、まるで子供みたいに抱きしめられて撫でられて、お布団の中もひとりの時よりあったかくて。
この年齢で、いくらりーくんと言えど男女で同衾とか、いよいよまーくんに合わせる顔がなくなっちゃうよ…
そんな事を考えるも、心地良さにすべてがどうでもよくなって。
本当にわたしってどうしようもないな……
そんな感情に苛まれながらも、重くなっていく瞼に抗うことができず、そのまま眠りについた。