第7章 俺のものなのに
「あれ、ま〜くんがいない。」
放課後になって鞄を取りに教室に戻ると、珍しくま〜くんの姿が見えなかった。
まだ授業が終わって間もないしいつもならいるんだけどな…今日は生徒会もレッスンもないって言ってたはずだし。
「衣更なら誰かに電話しながらさっさと教室を出て行ったぞ。」
察したのかクラスメイトが情報を提供してくれる。
そんな事を言われてもま〜くんの行動範囲なんて広すぎて何処に行ったかなんて特定できないけど。
また急な仕事でも背負わされたのかも、本当に苦労性だなぁ。
俺を差し置いてどっかに行ったのは不満だけど、まあ今日はいいや。
それより今はもっと欲しい物がある。
睡眠を貪ることでも、部活でお菓子を食べるのでもなく。
そしてそれを満たしてくれるのは、友梨香一人だけ。