第6章 会いたくて
「最近俺の方が友梨香の誘い断ってばっかりでさ、なんかごめんな。」
「いいよ!そんなの全然。まーくんが大変なのは分かってるから。寧ろ学校離れたのに、今でもこうやって会ってくれるの、嬉しいよ。」
素直にそう言うと、少し照れたように笑うまーくん。
カフェの店内は想像したよりお洒落で少し高校生にしては背伸びした雰囲気。
その所為もあってかいつもより向かいに座ったまーくんに緊張が隠せない。
そういえば、まーくんと二人っきりというのも随分久しぶりな気がする。
いつもりーくん含めた三人でいる事が多いから、それもあってこんなにドキドキしてしまうのかな。
「なんだか嬉しいな。さっきもそうだけど、友梨香も俺と同じ事思っててくれてんだなって思って。
最近友梨香、中学の時に比べてしっかりしてきたなって思って。親心、じゃないけど少し寂しかったんだよなー。」
「そ、そんなことないよ!この間も、テストですんごい悪い点とっちゃって。」
しっかりしてきたというワードにぎょっとして慌てて否定する。
けど、親心って、なんだか微妙な気持ちにさせられるな…
「ははっ、相変わらず勉強苦手なんだなー。再試とかあんの?見てやろうか?」
「是非お願いしたいんだけど、今日は、いいや。」
本当は勉強なんて自分でできる。
まーくんと一緒にいる為に吐いた嘘がちくりとわたしの心を刺す。
わたしは表情を隠したくてアイスココアをストローで口に含みながら顔を伏せた。