第6章 会いたくて
「おう!…なんか今日いつもと違うな。」
「あ、えと、イメチェン?」
第一声、そこを突っ込まれるとは思わなかった。
慌てて眼鏡を外そうとする。
「いーじゃんそれも。似合ってる。」
そう言ってくしゃっと笑われると、自分の顔に熱が集まってくるのが分かる。
「そ、そうかな。じゃあ、今日はこのままにする。」
「うん。にしても丁度良かった。まさかこっちの方に来てるとは思わなかった。友梨香の学校とは方向間逆だし。」
「こっちに来ればまーくんに会えるかなって思って。」
言ってからハッとする。つい浮かれて本音が出てしまった。
おそるおそるまーくんの顔を見ると、何故かまーくんも顔を赤くしてて、
「…そっか、良かった。俺も会いたかったんだよな。」
そう言って、赤い顔のまま笑った。
「ほ、ほんと?」
嬉しい。もうこの場で飛び跳ねちゃいたいぐらい。
まーくんもちゃんと私のこと考えてくれてて、会いたいって思ってくれてただけでなんて幸せなんだろう。
「うん、ほんと。で、今日友梨香とどっか行きたいなーって思ってさ。」
「じゃあさ、この前言ったカフェ行こう! 」
わたしは前にまーくんと本屋に行った時に見せた雑誌に載っていたカフェの事を思い出した。
「おーあそこな、そういえばこっちの方寄りにあるよな。折角友梨香も足伸ばして来てくれてるし、丁度いいな。」
行こう、と言って歩き出すりーくんと肩を並べてわたしも歩く。
大分前の話なのに、覚えててくれたんだ。
嬉しい。
歩くスピードを合わせてくれるのも、並んで会話していても話の途中途中にわたしの目を見てくるとこも。
ああ、やっぱりまーくんの事、好きだなあってじんわり思い直す。