第6章 会いたくて
マスクを徐に外すと、一呼吸置いてから通話ボタンを押す。
「もっ、もしもしまーくん?」
「友梨香!えっと、具合はどうだ?」
「うん、全然平気だよ!寝たらすぐ治ったし…
今日も普通に学校行ったし大丈夫!」
嘘吐いたのは流石にばれないよね。
通話をしているとさっきとは違う意味で迷惑そうな目をされたのに気づき、焦って店外へ出る。
もうこのお店には来れないな…機会もそうないと思うけど。
「そっか、ならよかった。今学校?」
「ううん、夢ノ咲の前の本屋にいるよ。」
「マジか、…あ、本当だ、おーい友梨香!」
受話器の声と重なって聞こえる声がする方向を見れば、此方に手を振るまーくん。
「まーくん!」
電話を切り、雑にカバンにぽいと放り込むと、まーくんに向かって駆け寄る。