第6章 会いたくて
昨日はりーくんにはああ言ったけど、やっぱり一歩引いた状態だったら一生りーくんに勝てないし。
というかそういうの無しにしてもわたしがまーくんに会えないのは嫌だ。
「だからといって、これはよくないかな… 」
夢ノ咲学園の前にある本屋で雑誌を立ち読みする振りをし、マスクに眼鏡、そして普段とは違う髪型でこそこそとお店の外を凝視し続けるわたしに店員さんの訝しげな視線が刺さる。
だって、いくら会いたい気持ちが勝って来ちゃったとはいえ、ばったり会った時にまーくんが忙しそうにしてたら気を遣わせて困らせちゃう。
だからこうやってまーくんが通りそうな位置で、もし見られてもばれないような格好で待機してれば、運が良ければ暇そうにしてるまーくんをデートに誘えるかもしれないし、そうじゃなければこっそり帰ればいいし…
でもこれじゃあまるでストーカーみたいだよね。
りーくんにバレたらまた馬鹿にされそう。
いよいよ店員さんが声を掛けてきそうな雰囲気を察知し、慌ててお店をでようとすると、ケータイから着信音。
まさかのまーくんからだ。