第5章 朝の苛立ち
「ま〜くんは友梨香に会えなくて寂しくないの?」
「そ、そう言う訳じゃないけどさ…」
そう言ってま〜くんは、少し罰が悪そうに目を反らす。
友梨香はま〜くんに会いたがって仕方がないみたいよ、なんてのは絶対に言わないけど。
「ま〜くんってば、最近俺らを差し置いてtricksterやら生徒会やら…特にあのプロデューサーだか何だかよく分からない転校生なんかに入れ込んでるし〜」
「あいつはそんなんじゃないって。確かに俺らの大事なプロデューサーだけどさ。…っと、メール。」
そう言うと制服を投げて寄越される。
着せてよ〜、って言おうとしたけど、返信でそれどころじゃなさそうだから渋々自分で着替える事にした。
「誰から〜?」
「あー、噂をすればじゃないけど、あんずだよ。」
「なぁに、またイチャイチャしてんの?」
「単なる業務連絡みたいなもんだよ。」
画面を覗き込もうとすると、軽くおでこを叩かれた。
業務連絡とかいって、顔が和んでるのが分かるし。
やっぱ危険人物、あの転校生。
ま〜くんに近づいていいのは、俺と、少なからず友梨香だけなのに。
ま〜くんもま〜くんで、友梨香の事が好きな癖にあんなのにうつつを抜かすなんてさ。
まあ、本人は自分の気持ちにすら気づいてないっぽいけど。
ほんと肝心な所で鈍感なんだから。