第5章 朝の苛立ち
「凛月ー?入るぞ?」
ノックの音で目を覚ますといつも通りきちんと身支度を整えたま〜くんが部屋に入ってきた。
「ん〜はぁふ…おはよ…ま〜くん、何だか今日はやけにはやくない…?」
枕元の時計を引っ掴んで確認すれば、まだ登校時間より大分余裕がある。
「はよ、毎回ギリギリだから余裕をもって行動しようと思ってな。」
「う〜俺の貴重な睡眠時間が〜〜」
時計をぽいと捨てまた布団に潜り込もうとするとその前にべりと布団を引き剥がされた。
うう、まだ春先は冷えるのに、ひどい。
「もしかしたら友梨香が来るのかもしれないのに〜」
「友梨香が来ることなんて滅多にないだろ?それにここ、あいつの学校と逆方向なんだからあんまり世話焼かせたら可哀想だろうが。」
「無駄足にさせたほうが可哀想だも〜ん。」
「じゃあ次からは来なくても大丈夫、って連絡入れないとな。…うわ、制服床に脱ぎ捨てたままにすんなよ。しわになるだろー?」
何て事ない風に言うま〜くんにちょっとむっとする。