第3章 俺のもの
それに、
「俺、ま〜くん一人分あっても、それだけじゃ不満足だし〜?」
小声で発した言葉は友梨香には理解できなかったようで「なにそれぇ、どういうこと?」と小首を傾げた。
「つまり、ま〜くんは渡さないよってこと。」
涙でびしょびしょの友梨香の頬を拭ってやりながら適当言うと、「もういい意味わかんない」と手を払われた。
「もー帰る!帰って寝る!」
「はいはい、うるさいからさっさとお帰り〜」
手でしっしっ、とすると友梨香はべぇと舌を出してお腹から退く。
温もりが消えたそこは少し肌寒い。
「あ、あとまーくんが、りーくんの未提出課題の所為で怒られたみたいだから、ちゃんと明日にでも出しなよ!あとまーくんにしっかり感謝すること!」
最後には赤い目をしながらけろりと言い放ち、友梨香は部屋を出た。
「やーっぱ、しっかり者。」
友梨香の背中が見えなくなって、漸くカーテンを閉めて、布団に潜り込む。
俺だってあんまり余裕ないんだよねえ。
友梨香に半分譲るくらいの隙間持たせてたら、きっとすぐに彼女に取られてしまう気がする。
まあ、こんなこと学園にいない友梨香に言っても仕方ないから言うつもりないけど。
「当分こっちは大丈夫そうだし、俺の有利だけど〜?ま、どっちにしたって…」
誰にも渡さないよ、ま〜くんは。
勿論、友梨香も。
「だから、友梨香ちゃんみたく、ま〜くんもちゃんと良い子にしててよね。」