第2章 後編
「はい! 助けてくださって、ありがとうございました!」
ユメよりも先にお礼を言う友人。
「よかったです」
にっこりと笑う彼に、友人の目は完全にハートになっている。
「驚きました……急に、あなたの声が聞こえたので」
「え?」
彼のブルーの瞳がユメに向けられる。
「今日一日、あなたを探していたんです」
突然そう言われてユメは動揺する。
「私……を、ですか?」
「え? え?」
友人はユメと彼とを交互に見回す。
「はい。またお会いできて嬉しいです」
そう微笑む彼に、どくんと大きく胸が波打つ。
でも、違う、彼は……。
戸惑うユメを見て、彼は急に顔を曇らせた。
「あ……もしかして、オレのこと覚えてません……か?」
気まずそうな彼。
「そう、ですよね。もう3年も前のこと、忘れられていても仕方ないです」
――3年前!?
ユメは目を見開く。
彼は少し寂しそうに笑う。
「気にしないでください。オレが勝手に覚えていただけですから」
ぎゅうっと胸が苦しくなって、ユメは思っていることをそのまま声に出す。
「だって! あの人は、金色の髪にグリーンの瞳で……!」
「え?」
ユメの言葉に次に瞳を大きくしたのは彼の方。
そして、
「あ……あぁ! すいません! そうか、オレ、あの時」
ひどく慌てたように言う彼。
そして、次の瞬間……。
暗かった辺りが、金色に包まれた。
「うそ!!」
友人の驚く声が、遠く聞こえる。
そこに……あの人がいた。
金色の髪に鋭いグリーンの瞳。
あの、ずっと想い続けた人が、今、確かに目の前にいる。
思わず溢れてきた涙で視界が歪む。
彼はあのときと同じグリーンの瞳を細めて優しく言う。
「覚えていてくれたんですね。オレのこと」
それは、こっちのセリフなのに……!
喉の奥が詰まって、何も言えない。
「全てが終わったので、会いにきました……って、あ、あの!?」
ユメの目からは大粒の涙がボロボロと零れていた。