第4章 処遇
そこにはすでに信長様達が揃っていることが襖越しでわかったけれど変に騒がしかった。あの人たちの声はよく通る。悲しいことだけど斥候や忍が場内にいないとは限らない。だからこの広間で軍議などをするとき、いつも声をなるべく押さえているはずなのに。
ちょっと不思議に思いながら中に入ったら。
「もし見つからなければ……その時は…。」
「三成、早まるな!!それより探すのを手伝え!!」
「おいおい、あいつらどこに行ったんだ!?」
「すばしっこい奴らだ…手加減はせんぞ。」
「……え。」
襖を開けはじめたときからよりはっきりと聞こえ始めた声を聞けば探し物か何かをしているのはぼんやり想像はできたけど。
……うん、まさかね。
箸を持って畳の上を赤ちゃんのようにずりずりと這う信長様やそれに続くようにあちこちを這う秀吉さん達を見るとは思わなかった。