第4章 処遇
「三成、優希。そこ退いてくれないかな。邪魔なんだけど。」
顔に落ちてきた陰りとぶっきらぼうな声に三成が上を見上げればそこには家康がいた。
真上から見下ろす家康の顔に影が落ちて、暗く見えるせいかその瞳はいつもよりも明るく、綺麗な緑色に輝いて見える。微かに薬草の香りがする明るい橙と金色の着物からこちらに伸びた手は細いが無駄な肉がつくこともなく大きな手で、あちこちについている小さな傷は武将としての彼のこれまでを語っているようだった。
普段なら彼を少しだけ見下ろすように会話をしていた三成にとって、それは少し新鮮な光景であった。今の自分の状況も忘れ、自分の目に入るもの全てを食い入るように見つめていく。そして
背中は少し痛みますが、とても興味深い光景が見れましたね。
予想外の発見に満足し、にっこり笑う三成。
自分の言葉になにも答えず、ただただ笑う三成に苛ついた家康はツンツンと足でその頭を蹴る。
「聞こえてる?早くその女放しなよ。見苦しいんだけど」
「素直に言えよ、家康。抱き合う姿が羨ましいから離れろって」
くくっと笑い声をあげながら後ろから現れた政宗が、小さな子にするように家康の頭をわしゃわしゃと撫でた。