第4章 処遇
ことん、と音を立てると小箱の蓋が少しだけ動いた。
何かがその隙間からスッと飛び出す。
それは一瞬の出来事だった。小箱から飛び出した小さなそれは、優希に触れようとした秀吉の指先に飛びかかる。くるん、と宙返りをして体勢を整えたそれ。
そしてカミソリを思わせるような小さな刀を手にとると、秀吉の少し固くて大きな手のひらを真一文字に、ざくりと切ったのだ。
「いっ……!!!?」
「秀吉様!!」
予想外の痛みに顔をしかめる秀吉。主君のただならぬ様子にいち早く気づいた三成が慌ててかけよってくる。
見た目ほど深くない傷の様子に安心したのもつかの間。
キリッと顔を引き締めるのと鞘から抜いた彼の刀が優希の肩にぴたり、とまるで何かに吸い寄せられるかのように止まったのはほぼ同時のことだった。
「三成!!何をしてい…!?」
そう言いかけた政宗は優希の首もとを見て目を大きく見開く。少し遅れて他の男たちもその辺りを見てあ、っと驚いた。