第4章 処遇
障子を開けたまま何も言わない私に不審なものを感じ、喋るのをやめてお互いに顔を見合わせる政宗達。
どれくらい経っただろうか。
「……大丈夫か優希。何があったのかゆっくりと話せるか?」
優しい声が聞こえて私は思わず顔をあげる。少し困ったように、でも私を安心させるように微笑む秀吉がそこにはいた。まわりには自分をじっと見つめる信長や政宗、家康、光秀、三成も揃っていた。
不機嫌そうだったり少し興味深そうに、とそれぞれがまとう雰囲気の違いはあった。でも彼らの顔には何か聞きたくてうずうずしている気持ちと、それを必死に押し殺そうと必死になっている、そんな気持ちが同じように表れていた。
(皆、心配して、くれてるの……?)
そう思うと目頭がきゅっと熱くなった。悲鳴を聞いて慌てて駆けつけたのに追い出され、ようやく出てきたと思ったら本人は何も言わない。そんな身勝手な行動をしても心配して、自分が何か言うまで強く問い詰めないでいよう、と気遣ってさえくれるのだと思うとさらに目元が熱くなった。
そんな顔を見た秀吉は泣くなよ、と困ったようにそっと呟くと私の頭をそっと撫でようと手を伸ばして来た。