第3章 目覚めと出会いの朝
それが合図となったのか。
「「「ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……」」」
少し遠くの方から聞こえはじめたそれはだんだんと勢いを増し、音の大きさも大きくなっていく。爽やかに晴れた朝に似合わないその音に小鳥が歌うのをやめ、一斉に飛び立つ。轟音にも似たそれはとんでもない速さで優希のいる部屋へと近づいていく。
何が起こっているのかわけが分からず、ポカンとした優希の眼が、大柄な男たちの影が塊のように大きくまとまって薄い障子に写るのを捕らえた。でもそれはほんの一瞬だった。
すぱーーーーーん!!ととんでもない音を立て、大きく開け放たれた障子。
そして障子があったはずの空間に、泣く子も黙るような鬼気迫った雰囲気をまとって男たちが息も切らさずに、ずらりと並んでいた。
「いかがした!!」
「どうした優希!?」
「おいアンタ!!!」
「優希開けるぞ!!」
「曲者か!?」
「優希様、失礼いたします!!」
屈強な男たちの声がピタリと揃った。
わお、見事。
優希の悲鳴を聞いて飛脚も真っ青の勢いで駆けつけた信長達が眼にしたのは
まだ着替えてない優希の少し無防備な姿と
その両手や肩、枕元にちょこんとたたずみながらこちらを見つめる自分達そっくりの生き物だった。